農業

お米の収穫量は多くない方がいい!?農業にもビジネス的視点を!

お米の収穫量は多くない方が良い!?

昨日、驚きの光景を目にしました。

  • 人の背丈ほどにも育った大きな稲。
  • その稲にひしめくように実るお米。
  • しかも、農薬も肥料も機械使わずに育ったとのこと
  • この方法ならコストをかけず沢山の収穫ができる!

Facebookでシェアされてきた投稿だったのですが、本当にビックリしました。というのも、僕自身も無農薬・無肥料のお米作りをしていて、以前は機械を使わない手作業にもこだわっていたからです。

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詳しいことはコチラ↑の記事に書かせていただいたのですが、そこそこ信念やこだわりを持って取り組んでいました。

ですが、僕自身は上手く行かなかったのです(^^;;

特に「手作業」という部分に関しては困難で、手で田植えして、手で草取りをして、手で刈り取るという労力をかけ続けることができませんでした。それに、作業が追いつかなくて収穫量が少なく終わってしまいいました。

ですから、

  • 手作業なのに省力化!
  • しかも、収量が多い!

というのは、本当にビックリなのです。

ただ、「すごい!」とは思いながらも、「うーん……この考えではやりたくないなぁ」という風にも思いました。

確かに、省力化ができて、機械のコストがかからず、沢山の収穫量が取れたら良いのですが、それって今までの農法で変わらないのです。

そう。「収穫量が多い方が良い!」という考えが前提にあって、それって結局、既存の農薬や肥料を使う一般の農法と同じになります。

僕が考えるに、そういった“前提”から脱却することが今の農業には必要だと思っています。特にお米作りには!!

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以前の記事にも書いたのですが、お米作りを続けていくためには思考の転換が必要なのです。

では、どうすればいいのか? 自分の考えを書いていきたいと思います。

大切なのは「誰のために?」

まず大切なのは「誰のために?」という視点です。つまり、「作ったお米を誰に食べてもらいたいか?」ということですね。

「そんなん、誰だってええやろ?」

「とにかく沢山の量を収穫して、沢山の人に食べてもらえばいい!」

と思われるかもしれません。ですが、それだと既存の農業と同じです。

農協さんやお米の卸売業者などに出荷される場合は、そこから全国のスーパーや量販店に出荷されるので、お米を食べてもらう対象は不特定多数になります。そんな場合は「誰のために?」は考えなくていいでしょう。そして、とにかく収穫量を多くすればいいです。

けれど、もし無農薬や有機栽培、自然農法だったり、こだわりの方法で作っていると、「誰でもいい」という考えは適切ではありません。なぜなら、無農薬や有機や自然に興味がある人たちというのは、ごく限られた層だからです。

また、こだわりの農法ではなく慣行農法だったとしても、他の農家さんとは差別化して収益を上げていくためには、「誰でもいい」では通用しません。「誰でもいい」だと先ほどのように農協などに出荷せざるをえず、価格設定が自分ではできないからです。

ですから、自分が栽培しているお米を誰に届けないのか? これを考えることが必須となります。

というか、「顧客層を絞る」というのは他のビジネスで言えば常識なのですが、農業においてはこの視点が欠如してしまっているようです(^^;;

ですのでまずは、ビジネスの基本中の基本である、顧客層を設定すること……「誰のためにお米を作るのか?」を考える必要があるのです。

「世界のため」は?

……と、こんな風に言うと、時々あるのが「自分は世界のために農業します!」というもの。

  • 「私が無農薬で栽培するのは、世界が良くなって欲しいからです!」
  • 「自然環境のために、自然栽培を実践します!」
  • 「私の農業は、全人類の平和を目指したものです!」

という風に、高い理想や信念を掲げるケースです。

これはこれで、とっても素晴らしいことだと思います。どんな仕事や活動だって、「世界のため」を目指すものだと思います。というか、僕自身が以前はこんな風に考えていました。

けれど、「ビジネスとして成立させる」という視点で見たときに、この考え方は危険です。

なぜなら、届ける対象が不明確であれば、あなたの商品(農作物)やサービスを受け取ってくれる人が現れません。それはつまり、「買ってくる人がいない」状態になります。買ってくれる人がいなければお金は生まれず、収益が上がらず、その農業は回らなくなります。

そう。どんなに素晴らしい農法だとしても、どれだけ世界のためを考えていたとしても、現実的に届ける相手がいなければ、継続することができないのです。

だから、仮に「世界のため」や「世界平和のため」「全人類のため」と考えていたとしても、「まずは誰のために?」という現実的な視点で、届ける相手を見定めることが必要なのです。

※この「世界のため!」症候群については、下記の記事でも触れていますので、よかったらどうぞ(^-^)

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その農業は「何のために?」

そして次に大切なのは、「何のために?」です。「自分の農業が何を提供できるのか?」ということですね。

「え? 何のためって、そんなん農作物に決まってるやん!」

「米作りするなら、お米を提供するしかないやろ?」

と思われるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

たしかにお米を作っているのなら、お米(という商品)を届けるのが定番です。けれど、それでは既存の枠組みから脱却できません。

それに、時代が求めているものもモノではなくなりました。

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こちらの記事にも書いたのですが、今はお米だけではなくモノそのものの価値が下がっている時代です。あらゆるモノが溢れすぎて、多くの人が物質的な商品に価値を見出さなくなっているのです。

だから、「モノを提供する」のではなく「体験を提供する」方が価値を感じてもらいやすい時代なのです。

具体的に言えば、田植え体験であったり稲刈り体験だったり、イベントを開催して価値を提供するという方法ですね。

もちろん、これは一例に過ぎず、他にも農業を通して提供できるものは沢山あります。例えばですが……

  • 農業を通して食べ物の大切さを学ぶ
  • 自然の大切さを学ぶ
  • 美味しいお米づくりを一緒に研究する
  • 日本古来の文化に触れる
  • 農作業する中で自分と向き合ってみる
  • 農業体験イベントで男女の出会いを提供する

といった感じです。

実際にやっていることは「作物を育てる」や「作物を届ける」なのですが、紹介する切り口や視点を変えることで、他の意味づけをすることが可能なのです。

「誰のために」+「何のために」

ただ、今までご紹介した「誰のために?」と「何のために?」はそれぞれが独立している訳ではありません。提供したい相手がわかってから「何のために?」が見えてくる場合もありますし、逆に「自分がこんなことができる!」とわかってから、相手が見えてくる場合もあります。

だから、「誰のために?」と「何のために?」はセットで考えることが大切なのです。

ですが、こういった視点で農業を捉えていくと、「収穫量が多ければ良い」という前提が覆されます。

例えば、「子どもたちのために、食べ物を育てる経験を提供する!」と決めたのであれば、「子どもたちに農作業を体験してもらうこと」が一番の目的になるので、そこには収穫量は関係ありません。

また、「これから農業を始める人たちのために、一緒にお米作りを研究する企画をする」ということであれば、とにかく試行錯誤をすることが大事なので、沢山のお米を収穫することは必要なくなります。

けれど、どちらのケースであっても、そこに「喜んでくれる人」「価値を感じてくれる人」がいるのであれば、対価としてお金を受け取れます。そして、そのお金を使って、次の企画を考えたり、農業への投資に回して、事業が継続していけることになります。

つまり、「多く収穫すれば良い」というパラダイムから脱して、「自分はどんな人にどんなことを提供できるのか?」を追求することが、収益を生み出す道となるのです。そして、それによって自らの理想にも近くことができるでしょう。

ちなみにですが、僕が今思いついているのは、「お米作りを通して自分のライフワークを考える」というものです。ここで言う「ライフワーク」というのは、「その人が生涯を通して取り組みたいこと」です。

僕が今まで出会ってきた人の中には、「自分が世間に対して何ができるのかがわからない」「生き甲斐がわからない」……そもそも「やりたいことがわからない」という人が多かったです。

僕自身も以前はそんな状態だったのですが、お米作りを通して自分の価値に気付いたり、色々なアイディアが湧いたりしました。だから、人生に迷っている人を集めて、その人たちと一緒にお米作りをしながら、その人が生涯を通して取り組みたい「ライフワーク」を見つけてもらえたらいいな、と思ったんです。

まだまだ思いつきレベルの段階ですが、半年間のコースで月額5,000円くらいで始めて見ようかな?と考えています。あ、でも、ガッツリ成長したい人に向けては、オンラインでのコンサルティングも加えて数十万円単位のサービスにしてもいいかな、とも思ってます(^-^)

これからの農業にはビジネス思考が必須!

いかがでしたでしょうか? ざっくりとですがビジネス的な視点を入れて、これからの農業を考察してみました。

もう一度整理すると……

  • 自分の農業が「誰のためになるのか?」を考える
    (「誰だっていい」だと農協や卸業者の言いなりで終わってしまう)
  • 自分の農業が「何のためになるのか?」を考える
    (農作物以外にも農業体験や学びなどなども提供できる)
  • 「誰のために?」と「何のために?」はセットで考える
  • そうすれば、「収穫量が多ければ良い」という既存のパラダイムから抜け出せる
    (自分にしかできない独自の農業になる)

という4つのポイントになります。

僕自身もまだまだ試行錯誤中ですが、新たな農法も見つけたので、改めて自分の農業のあり方を考えたいと思います。

あなたにとっても、少しでもご参考になるところがあれば幸いです(^-^)

ABOUT ME
つじばやし@農マドワーカー
つじばやし@農マドワーカー
「ノマドワーカー」ならぬ「農マドワーカー」です。 地元の田んぼで無農薬のお米づくりをしながら、IT関連のお仕事をしています。 ブログは毎日更新しているので、よかったらまた遊びに来て下さいね!